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【報告】附属バリアフリー教育開発研究センター主催公開シンポジウム『社会で取り組むうつ病の予防と回復―ICTの活用による心のバリアフリーを目指して―』開催について

2013年2月6日

附属バリアフリー教育開発研究センター主催公開シンポジウム『社会で取り組むうつ病の予防と回復―ICTの活用による心のバリアフリーを目指して―』開催

11月28日(水)、教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センター主催、メンタルヘルス支援ICT研究会共催、東京大学産学連携本部及び情報理工学系研究科ソーシャルICTグローバル・クリエイティブリーダー育成プログラム(GCL)後援により、公開シンポジウム『社会で取り組むうつ病の予防と回復―ICTの活用による心のバリアフリーを目指して―』が伊藤国際学術研究センター伊藤謝恩ホールで開催された。当日は、一般企業の人事担当者やICT関連企業の開発者、バリアフリーの学術研究及び実践に関心を持つ研究者や学生などが来場し、300名を超える参加者が集うシンポジウムとなった。

シンポジウムは、武藤芳照理事・副学長(バリアフリー担当)の開会の辞によって開会した。企画趣旨説明では、下山晴彦センター長によって、個人のメンタルヘルスの促進や回復を妨げる「心理社会的バリア」についての説明が行われ、バリア解消に向けた、新たな価値観の必要性とICTを活用した社会システム構築の可能性が示された。

第Ⅰ部「産業領域におけるメンタルヘルスの現状と課題」では、厚生労働省労働基準局安税衛生部労働衛生課長の椎葉茂樹氏によって、職場のメンタルヘルスの現状と課題、メンタルヘルス対策への取り組みが紹介された。続いて、日本経済新聞社生活情報部編集委員の山口聡氏からは、社会問題としてのうつ病についての解説とともに、近年の社会的企業やソーシャルビジネスなどの新たな価値観に基づく働き方の増加が紹介された。教育学研究科臨床心理学コース高橋美保准教授による講演では、産業領域におけるメンタルヘルス支援のアプローチが紹介され、働くことへの価値観によって生じる心理社会的バリアが、支援を必要としている方と実際の支援を結びつけることを阻害してしまう状況について解説が行われた。

第Ⅱ部「ICTによるバリアフリーの実現とメンタルヘルスの未来」では、同センター星加良司専任講師によって、産業社会において心理社会的バリアがどのように形成されているのかについて社会学的な観点から述べられ、社会的な価値観を変更していくアプローチが心理社会的バリアフリーにつながることが明らかにされた。続く下山晴彦センター長による講演では、ICT活用によるうつ病の予防と社会復帰支援の発展について世界と日本における取り組みの現状が紹介され、更なる発展可能性が示された。情報理工学系研究科知能機械情報学専攻の國吉康夫教授からは、ICT及びゲームの活用による研究例の紹介とともに、ネットワークを使ったメンタルヘルス支援の可能性について解説が行われ、ICTを社会の課題の解決にどう有効活用していくかという観点からソーシャルICTグローバル・クリエイティブリーダー育成プログラムの取り組みが紹介された。

第Ⅲ部の「総括討論」では、登壇者全員による質疑応答が行われ、参加者から熱気のある質問が寄せられた。シンポジウムは、市川伸一教育学研究科長の総括的な挨拶をもって、盛況のうちに閉会した。

バリアフリー教育開発研究センターのサイト:https://www.p.u-tokyo.ac.jp/cbfe/

  • 下山センター長による講演
    下山センター長による講演
  • 企画趣旨説明を聞く300名の参加者
    企画趣旨説明を聞く300名の参加者
  • 企画趣旨説明を聞く300名の参加者
    参加者からの質疑に回答する登壇者の方々




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