教育心理学コース スタッフ紹介
岡田 猛(おかだ たけし) 教授
教育認知科学
「アイデアが生まれて,それが形になっていく過程」に興味があり,芸術家の創造活動について研究しています。「芸術家はどのように作品を作っていくのか」「独創的なアイデアはどのように生まれるのか」といった問いについて,認知科学的な解明を目指しています。その際,フィールドワークに基づいて「創造の現場で起こっている認知活動」についての仮説を生成し,それを心理学実験で検証するといったマルチメソッドを用いて研究を進めています。
遠藤 利彦(えんどう としひこ) 教授
発達心理学
人生早期に子どもと養育者との間に形成されるアタッチメントがいかなる要因によって規定され,それはまたその後の子どもの(特に社会情緒的側面の)発達の道筋にどのように影響するのかについて関心を持っています。さらに,人の様々な感情がどのような過程を経て生じてくるのか,そしてそれは子どもの心身の発達全般にいかなる意味を有するのかについても,進化論あるいは文化論の視点を交えながら,考察しています。
藤村 宣之(ふじむら のぶゆき) 教授
教授・学習心理学(所属は「大学院教育内容開発コース」)
子どもが数学的概念や科学的概念(自然,社会)の理解を深めていくプロセスや学習観の変容過程,それらを他者との関わりのなかで促進する授業のあり方に関心があります。小学生から高校生までを対象に,個別実験・面接,記述形式の調査,授業時の発話や記述内容の分析,小・中・高の教員との協同研究などにより研究を進めています。子どもの変化のプロセスに着目し,教授・学習,認知発達,授業過程に関する心理学研究を関連づけることをめざしています。
針生 悦子(はりゅう えつこ) 教授
発達心理学
生まれたときには本当に無力に見えた子どももやがて,ことばを話し,人の気持を思いやった行動がとれ,新しく直面した問題にもうまいやり方で対処できるようになっていきます。この当たり前に見える変化がどのようにして起こっているかを知りたいと考えています。特に言語の獲得とからめて子どもの世界に対する見方はどのように構造化されていくのかといったことに興味があります。
岡田 謙介(おかだ けんすけ) 准教授
教育情報科学
心理・教育・行動データをモデリングし,現象の理解と予測に役立てることに関心を持っており,そのためにとくにベイズ統計学の方法論と応用を研究しています。心や行動について科学的に理解していくためにも,社会科学的な問題を実証的に解決していくためにも,統計学の理論と方法を役立てることのできるフィールドは私たちの未来に広がっていると思います。
清河 幸子(きよかわ さちこ)准教授
教授・学習心理学
他者と協同する中で生じる様々なプロセスが問題解決に及ぼす影響を明らかにすることを目指しています。最近は特に,思考を言語化することによって生じる影響に興味があります。また,そこから派生して,洞察問題解決,アイデア生成,潜在学習といった高次の認知活動がいかにして進展するのか,また,それらを促進するにはどうしたらよいのかについても関心があります。
宇佐美 慧(うさみ さとし)准教授
教育情報科学
教育学・心理学・疫学・医学を主軸とした,行動科学における多変量データ分析の統計学的方法論と応用・実践に関心があります。特に,複数時点に跨る測定を通して得られる縦断データを利活用した変化のモデリング・統計学的因果推論・分類に関するテーマ,および入学試験・資格試験や心理検査・医学検査を中心としたテストに対する測定論的視座に基づく評価・設計やデータの測定・分析法に関するテーマについて,分野横断的な展開を目指して研究を進めています。
一柳 智紀(いちやなぎ とものり)准教授
授業研究
学校における子どもと教師の学習・発達過程と,それを支える社会文化的環境について研究しています。特に,言葉(話し言葉,書き言葉,非言語も含め)を中心としたコミュニケーションに着目しながら,子どもがどのように学んでいるのか,教師はどのように学びをデザインし,支えているのかを探究しています。近年では,小中学校をフィールドとしながら,探究的で協働的な子どもの学びを組織するための教師の実践的な知識について検討しています。
代表著書:
- 学校に還す心理学:研究知見からともに考える教師の仕事』(共著,ナカニシヤ出版,2020)
- 『これからの質的研究法:15 の事例にみる学校教育実践研究』(共著,東京図書,2019)
- 『岩波講座 教育 変革への展望 5 学びとカリキュラム』(共著,岩波書店,2017)
植阪 友理(うえさか ゆり)准教授
教育認知科学
実践の中で生じている課題について,心理学的な視点から解決策を考えることに興味があります。心理学の視点をふまえて実践にかかわると,心理学の有効性を感じるとともに,その限界にも気づかされます。実践を通じて立ち上げた学習過程や効果的な指導法等に関する研究テーマについて,調査や実験といった心理学的方法論で検討をしています。さらに,研究から得られた知見を生かして,現場と連携した実践も行っています。
能智 正博(のうち まさひろ) 教授
臨床心理カリキュラム論(所属は「大学院臨床心理学コース」)
語り(ナラティブ)は個人の「内面」の表現であると同時に、個人の世界を作り上げる実践です。臨床実践とは個人の語りの再構築を支援することであり、コミュニティの語りに対する働きかけでもあります。私は、障害や慢性疾患をもつ方々などの語りやライフストーリーの特徴とその生成変化、生涯発達のなかでの自己語りの変化や主体価値の発達過程などをテーマに研究を進めています。また、語りを捉える質的研究の方法論・技法論の整理と普及にも努力しています。
高橋 美保(たかはし みほ) 教授
臨床心理システム論(所属は「大学院臨床心理学コース」)
個人に起こる心理的問題は、個人的要因のみに起因するのではなく、個人が生きる社会的要因の影響も受けています。また、個人に起こる心理的な問題が社会の問題を浮き彫りにしていることもあります。このような視点から、個人の生きにくさを、コミュニティや社会といった視点から理解し、個人・組織・社会を援助する具体的な方法論と理論を構築するための研究や実践を行っています。特に、就労、復職、失業など働くことにまつわるメンタルヘルスに注目し、現代社会の中で個人が自身のライフキャリアを構築し、生き抜くことを支援するための研究や実践を行っています。
滝沢 龍(たきざわ りゅう) 准教授
臨床心理カリキュラム論(所属は「大学院臨床心理学コース」)
「ストレスと心身の健康」や「こころの健康科学」の研究と予防教育カリキュラム開発に関心があります。様々なストレス要因や逆境体験に関わらず,心身の健康を保てるようレジリエンスをもたらす認知行動理論と実践法の実証を目指します。社会環境(家庭・学校・職場)における科学的実証のため縦断的コホート,双生児法,脳科学などの手法で迫ります。精神科医としての経験を活かしながら,生涯発達における健康増進・発症予防(<育み・守る>)のために,<見える化>するテクノロジー(生物学的指標やIoT 技術等)も用いて,日常生活場面で利用できる非侵襲的な予防介入法・評価法の開発と効果研究に取り組みます。